FX米金利上昇の悪影響？　賃金上昇が追い付くかがポイント？

アップルが発表した新型 iPhone XSの価格は749㌦～1000㌦、2016年に発表された当時のiPhone は649㌦～769㌦と比べ20％以上も値上げされたことになります。

11月2日に発表された米10月雇用統計で時間給賃金が前年比3.1％上昇し、2009年4月以来、9年半ぶりに3.0％台の上昇となったとはいえ、平均時給は27.30㌦、製造業の労働者に限ると22.89㌦であったことから、およそ1週間飲まず、食わず働いて新型 iPhone XSを買うことが出来る計算になります。

そこまでして手にしたいか？　さらにミシガン大学の消費者信頼感調査での向こう5年の期待インフレ率は平均2.6％、やはり高い！結果的に売買高見通しは下方修正されたほか、昨晩は大手米系証券が目標株価を引下げたことからアップル株は一段安となり、10月3日の233㌦から25％近い下落に至っています。

しかし、労働市場の逼迫により企業の賃金上昇圧力は高まっており、収益確保のためには売買高を増やすか、値上げするかを迫られているのかもしれません。

【米住宅市場】

19日に全米住宅建築業協会（NAHB)が発表した11月の住宅市場指数は前月（68）から大幅に低下し、2016年8月以来の低水準となる60へ低下しました。

S&P500株価指数の住宅関連株価指数は年初から3割ほど下落しており、住宅市場では金利上昇による住宅ローン金利の上昇や住宅価格の上昇による影響が顕著に表れています。

昨晩発表された10月住宅着工件数は122.8万件（年率換算）と前月（121.0万件）から増加、しかし、建設許可件数は前月（127.0万件）から126.3万件へ減少しており、好景気を背景にした住宅ブームには程遠い状況です。

9月の新築住宅販売は前月比-5.5％と6月以降4ヵ月連続で前月比マイナスが続いているほか、中古住宅販売も4月以降、8月の前月比変わらずを含めると6ヵ月連続で前月比マイナスの状態が続いています。

米ホームセンター大手のホームデポの株価も9月12日の215㌦の年初来高値から昨晩は169㌦とこの2ヶ月間で21.3％も下落しています。

米国の景気は欧州をはじめ各国と比べて堅調なことは明らかですが、個別にみると金利上昇の影響は明らかになっているだけに、金利上昇に賃金上昇が追い付いていくのか、今後の米国経済、NY株式市場の動向をみる上で注目かもしれません。