FX 英EU離脱・・・スムーズに事が進展するのか？

昨晩、日本時間23時00分からおよそ5時間に及ぶ閣議を経て、メイ首相は「政府がEU離脱協定草案と政治宣言の概要を承認すべきとの決定に至った」と述べたほか「英国全体の最善の利益になると強く信じている」と強調しました。

先週末以降、離脱問題を巡り、複数の閣僚が辞任するなど、波乱含みの中で行われた閣議では草案に激しく反対する閣僚も見られるなど全会一致の決定ではなかったことが明らかになったほか、メイ首相の不信任投票の可能性も否定できない、との情報も聞かれるなど離脱反対派の中には国民投票の再度の実施を求める声も聞かれています。

それでも①英国のEU離脱に伴う「違約金」の支払い②在EU・在英国双方の市民権の保証　③2020年末までの移行期間の設置などが盛り込まれた協定草案の中で、最大の懸案とされた北アイルランドの国境問題は、決裂回避を最優先にしたことで最終的に解決方法が見つかるまで英国全体が離脱後もEUの関税同盟に事実上残留する妥協案で決着しました。

11月25日に開催予定の臨時のEU首脳会議でEU側も承認され、EU加盟各国のそれぞれの議会の承認を得て、来年3月末のEU離脱協定の批准を完了する予定となりました。

しかし、英議会でも承認が必要となりますが、与党保守党内にも反対派が多く見られる状況でメイ首相が議会承認に向けてどのように賛成派を増やしていくのか注目されます。

離脱そのものに反対する議員、離脱素案に反対する議員など反対派の中でも意見が割れ、円滑に離脱が進むのか、離脱草案が議会で承認されなければメイ首相の辞任につながる可能性のほか、合意無き離脱となればふりだしに戻り、あらためて国民投票の実施との事態も可能性として残されているかもしれません。

保守党に閣外協力している北アイルランドの地域政党である民主統一党は、北アイルランドを英国の他の地域と同じように扱わない案には反対の意向を明らかにしており、依然不透明な情勢に変わりはないといった冷ややかな見方も燻っています。

メイ首相は議会での採決の日程を明らかにしておらず、今後も引き続き離脱を巡るポンドの値動きが注目されます。