XMー米利下げ観測上昇、リビア情勢悪化で原油高

• 米非農業部門雇用者数の結果に米ドル反応せず、しかしながら利下げ観測は上昇
• メイ首相の関税同盟残留に譲歩する可能性の報道
• リビア情勢悪化によるリビア原油生産への影響で、原油価格は5か月ぶり高値

米ドルは米雇用統計の強弱混合の結果を材料視せず、しかしながら米利下げ観測上昇

米3月雇用統計は、強弱混合の結果となりました。米3月非農業部門雇用者数は、市場予想の18万人増を上回る19.6万人増となりました。

しかしながら、平均時給は予想外に鈍化し、前月結果の前年比3.4%増から前年比3.2%増に低下しました。失業率は、予想通りの結果でした。米ドル相場への影響は限定的でした。

しかしながら、市場では雇用統計は脆弱な結果と解釈され、年内利下げ観測は最大80%まで上昇しました。

米株式市場は、米雇用統計の脆弱な結果を材料視しました。

米経済減速の兆しにも関わらず、S&P500は0.46%上昇し、終値は6か月ぶり高値を更新し、最高値から2%未満離れた水準まで上昇しました。株高上昇の背景には、利下げ観測上昇があるものの、経済のファンダメンタルズ要因と株価に乖離が見られる為、注意が必要になるでしょう。

ファンダメンタルズ要因と株価の乖離は永久には継続しません。米ドルと株価の次のリスク材料は、今週水曜日の米3月消費者物価指数になるでしょう。更に、米中通商協議の進展も同様のリスク材料となるでしょう。

メイ首相の関税同盟残留への譲歩報道-ポンド買いには繋がらず

今週はポンド相場にとっても重要な週となるでしょう。今週水曜日のEU首脳会談では、英国が申請したEU離脱時期の再延期が協議されます。

メイ首相は6月30日までの延期を申請しましたが、EU側が短期的延期を承認する可能性は低く、年末までの長期的延期を承認する可能性があります。EU離脱交渉の膠着状態打開のためのメイ首相とコービン党首の協議は、継続しています。今朝のメディア報道によりますと、メイ首相がEU関税同盟への残留に譲歩する可能性は示したようです。

4月12日の合意なき離脱のリスクが依然として残っている為、現在の所、ポンド相場には大きな動きが見られていません。EU関税同盟への残留や、EU離脱時期の長期的延期への明確な兆しは、ポンド高の要因となるでしょう。

リビア情勢悪化による原油供給への影響で、原油価格上昇

過去数週間の原油相場は、大きな値動きがあります。

主に供給要因により、本日のWTI原油先物とブレント原油先物は上昇幅を拡大させ、5か月ぶり高値まで上昇しました。

OPEC同盟国は、減産拡大に意欲を見せ、翌月から米国のイランへの経済制裁が正式に発動し、米原油生産は当初の予定より鈍化しています。

更に、リビア情勢は依然として不安定な状態が継続し、首都のトリポリは包囲されています。過去数カ月のリビアの原油生産は、緩やかに回復していますが、継続する対立は、原油価格の上昇リスクに繋がる原油生産の急落を引き起こします。