XMー米国がEUへの関税検討、市場の反応は限定的

• 米国がEUへの関税案を公表、しかしながら市場の反応は限定的
• ユーロ上昇、明日のECB政策会合に注目
• EU首脳会議控え、メイ首相はメルケル首相、及びマクロン大統領と会談

米国によるEUへの関税リスト-貿易戦争の新たな章の始まりか

昨夜、ライトハイザー米通商代表部代表は、EUによる航空機大手エアバスの補助への対抗措置として、関税対象となる11億ドル規模のEU製品の暫定リストを公表しました。

米国は、対中通商協議の合意締結後、貿易摩擦がない状態で既に経済減速の兆しのあるユーロ圏に目を向けることが鮮明になりました。

前回と同様に、EU側は対抗措置を取る可能性が高い為、米国が関税を実施すると、貿易摩擦は一段と悪化するでしょう。

しかしながら、市場の反応は限定的でした。米主要株価先物指数は下落してのオープンを示していますが、下落幅は僅かとなっています。外国為替市場では、豪ドルとNZドルは上昇を継続しています。

しかしながら、米中通商協議合意後も貿易問題が継続することが市場で浸透すると、市場のリスクの流れが変更する可能性が十分にあります。

明日にはEU首脳会議が予定されている為、保護貿易に再度関心が集まり、ドラギ総裁が慎重姿勢を取る要因の一つとなるでしょう。

ユーロ上昇、しかしながら保護主義により明日のECB政策会合は慎重姿勢となる可能性

本日、明確な要因がないにも関わらず、ユーロが対主要通貨で上昇しました。市場の注目は、明日のECB政策会合に向けられています。今回の政策会合では、利上げが予想されていない為、ドラギ総裁の発言が注視されるでしょう。

最近のユーロ圏経済指標結果は一時的な安定を見せているものの、経済成長への懸念を緩和させるには不十分でしょう。

英国によるEUへの関税発動の可能性が、ECB内での保護貿易への懸念を一層強めるでしょう。したがって、ドラギ総裁やECBメンバーが慎重姿勢を維持する要因の一つになるでしょう。

EU首脳会議前に、メイ首相はメルケル首相、及びマクロン大統領と会談

本日、メイ首相は、6月30日までの離脱時期延長への支持を確保する為に、ドイツのメルケル首相、及びフランスのマクロン大統領と会談する予定です。

明日に開催されるEU首脳会議では、英国のEU離脱時期延長について協議されます。

EU側は、英国が申請した6月30日までの延長を承認する可能性は低く、年末までの長期延長を承認する可能性が高いでしょう。メイ首相が年末までの長期延長に同意した場合、合意なき離脱のリスクが後退し、英国がEUとより緊密な関係を維持しての離脱の可能性が浮上する為、ポンドが上昇するでしょう。

メイ首相がEU関税同盟への残留に譲歩する姿勢を見せた場合も、ポンド買いの圧力が強まるでしょう。しかしながら、ポンドが上昇するには、4月12日の合意なき離脱の選択肢が排除される必要があるでしょう。