XM－米ドル下落、一方で株式市場は大幅な回復

• セッション後半の米株式市場は大幅に回復し、終値上昇
• 米利上げ観測が市場でほぼ完全に排除され、米ドル下落
• 全面的なリスクオフの流れで、円上昇、カナダドルと豪ドルは下落

米株式市場回復、しかしながら回復継続への懐疑的な見方は根強く残る

昨日も、流動性の低下した市場で目新しいニュースがない中、通貨市場と株式市場が大きく動きました。最も注目が集まったのは、USセッション後半に大幅な回復を見せた米株式市場でした。

特に、S&P500種は今までの大幅な下落幅を回復し、0.86%上昇して引けました。

2日連続での株価上昇は、株価回復が一時的反発に過ぎないという観測を若干回復させ、ポジティブな要因となりました。経済成長減速の全般的な見通しは変わっていません。

年末のポジション調整による動きの可能性がある為、現在の市場の動きだけ判断するには注意が必要でしょう。市場を取り巻く環境が変わっていない為、年始に市場の流動性が通常通りに戻ってから、市場の流れを見極めることが重要になるでしょう。

市場での米利上げ観測排除により米ドル安、ユーロと円は上昇

通貨市場では、米ドルが殆どの主要通貨に対して下落しました。特にユーロと円が米ドル安の恩恵を受けました。最近の米株価の一時的下落は、一見したところ、米利上げ見通しに対しての反応の可能性がある為、米ドルは全面安の流れとなりました。

経済減速に直面し、FRBが今後利上げを実施ないと市場は予測しており、2019年の利上げへの期待を完全に排除しています。市場の観測は、先週に公表したFRBの2019年の2回の利上げ予測とは完全に異なっています。

外国為替市場に再度目を向けると、市場のリスクオフのムードにより、本日前半の円は大きく上昇しました。本日前半に発表された日経済指標の結果は、材料視されませんでした。12月後半の円は堅調推移し、円が市場が好む安全資産であることが浮き彫りとなりました。

コモディティ通貨急落、豪ドルは2年ぶり安値に

G10通貨で最も軟調推移した通貨は、カナダドルや豪ドル等のコモディティ通貨でした。昨日、カナダドルは対米ドルで1年半ぶり安値まで急落し、豪ドルは対米ドルで一時2年ぶり安値まで急落しました。

米ドル安の流れの中でのカナダドルと豪ドルの急落は、市場の注目を集めました。

カナダドル下落の要因は、当然ながら原油安になります。原油安はエネルギー関連の投資減少に繋がる可能性があり、その結果、カナダ利上げ観測が後退するでしょう。

豪ドル下落の要因は、市場の全面的なリスクオフの流れになるでしょう。豪経済指標の低調な結果の継続が予想される中、市場では翌年度の豪利下げの可能性が僅かに（最大20%）上昇しています。

FX本日のこれから: 独消費者物価指数発表

本日に注目される経済指標は、GMT1300に発表される独12月消費者物価指数になるでしょう。独消費者物価指数では、コアの消費者物価指数が明らかにされないものの、物価上昇圧力は若干後退する見込みです。

したがって、消費者物価指数に低下が見られた場合、原因は燃料価格下落になるでしょう。