XMFX–ハイテク株の下落一服、米消費者物価指数に注目2021/05/12

• インフレ上昇、及びバリュエーションの調整動きへの懸念で株価下落、しかしながら、割安になったハイテク銘柄の買戻しの動き
• 株価下落にもかかわらず、米ドルは上値の重い展開
• 株式市場の次の動きは、本日の米消費者物価指数の結果次第

インフレ懸念拡大

最近のセッションでの米株価下落への明確な要因はありませんが、複数の要因が考えられます。

株価下落がハイテク株や成長株に限定されていることから、まずインフレ上昇や利上げへの懸念の再燃が要因として考えられるでしょう。

流動性増加によるキャッシュフローの流れを受けて、バリュエーションが大きく上昇した銘柄がインフレ上昇、及び金利上昇に直面すると、バリュエーションは必然的に低くなります。

もう一つの要因は、ヘッジの動きでしょう。多数の投資家がオプション取引で空売りをしている場合、株価が下落するについて、オプションを売ったディーラー側はヘッジの為に、株式自体の売却を余儀なくされます。

このような一連の動きは、株価上昇時でも、株価下落時でも大きくなる傾向があり、今回の場合は下落時の大きな動きに繋がりました。

昨日、ハイテク銘柄に回復が見られました。

ナスダック指数は大幅な急落から回復し、終値は今回の下落前の水準となりました。

一方、S&P500とダウ工業株は共に大きく下落しました。

したがって、ハイテク株と成長株の下落は他の銘柄にも影響しているにもかかわらず、一部の投資家が割安になったハイテク株と成長株を買い戻したようです。

株式市場の全体的な見通しはポジティブ、外国為替市場の反応は限定的

米主要株価先物指数が下落してのオープンを示している為、本日も米株安は継続する模様です。

しかしながら、今回の下落の動きが長期的に継続するかを見極めるのは困難でしょう。

米政府は追加の財政刺激策実施に向けて動いており、FRBのよる流動性増加も継続しています。

したがって、インフレ上昇時でも、株式に代わる投資先はないでしょう。国債利回りの上昇に勢いはなく、コモディティ市場は規模は小さく、値動きも荒いという難点があります。

奇妙なことは、市場のパニック時でも、最近の米ドルは上昇しないことです。

インフレが上昇する中、FRBはインフレ上昇を一過性と見なし、現行政策の維持を示している為、国債利回りは最低水準付近まで下落しています。これにより、米ドルの上値が重くなっています。

今年の夏は、米ドルは上値が重い展開となるでしょう。

米経済が順調に回復しても、FRBは8月末、或いは9月まではテーパリング協議を開始することはないでしょう。

一方で、ゴールドにとっては最高の夏となります。ゴールド高はFRBが金融引き締めに方向転換するまで継続し、金融引き締めにはまだ時間がかかるでしょう。

米消費者物価指数に注目

本日の主要イベントは、米4月消費者物価指数の発表になります。

米4月消費者物価指数の市場予想は、前年同月比3.6%増となっており、通常は金融正常化への方向転換が検討される水準です。

消費者物価指数上昇には、コモディティ価格上昇、サプライチェーンの混乱、及び前年度の低い結果が影響しています。

FRBが判断材料として必要としている需要によるインフレ上昇ではありません。

したがって、FRBは今回のインフレ上昇を一過性に過ぎないと見なしているようです。

最近の市場でのインフレ上昇への懸念、及びFRBの方針を留意した上で、予想外の結果となった場合、市場の反応は大きくなる傾向があるでしょう。

予想を上回る結果となった場合、株価は下落し、米ドルが回復するでしょう。

予想を下回る結果となった場合は、正反対の反応が見られるでしょう。

GMT13:00には、クラリダFRB副議長の発言が予定されています。

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