XMFX–米雇用統計の弱い結果で米ドル安、米CPI控え株価は慎重姿勢2021/06/07
- 米非農業部門雇用者数の予想を下回る結果で、米ドルと国債利回りは反落
- ゴルディロックス回復で米株価上昇、しかしながら米CPI発表控え、慎重姿勢
- 豪ドルは上昇に転じ、ECB政策会合を控え、ユーロは様子見ムード
米雇用統計の予想を下回る結果で、早期テーパリングの懸念後退
先週金曜日に発表された米5月非農業部門雇用者数も、前回に続き、FX市場予想を下回る結果となりました。
市場予想の65万人増に対して、55.9万人増の結果となり、前回結果ほどは市場予想を下回らなかったものの、米労働市場が完全には回復していないことが浮き彫りとなりました。
しかしながら、市場予想を上回る賃金上昇、及びパンデミック以来初めて失業率が6%を割り込む等の強い結果も見られました。
結果として、FRBが「十分な前進」があると判断するには、まだ時間を要する模様です。
米経済指標の強い結果が続いた為、米雇用統計発表前には、FX市場が強い結果を予測し、米ドルや国債利回りが上昇しました。
しかしながら、米雇用統計の結果により、テーパリング協議開始観測が上昇しているものの、当面の間は、FRBが現行政策を維持する見方が強まりました。この流れを受けて、米ドルは上昇幅を失い、再度下落しました。
米ドル停滞、豪ドル上昇、ポンド下落
米ドルインデックスは、先週の上昇幅を維持しつつ、僅かな上昇に留まり、今週の市場は、比較的静かなスタートとなりました。
米雇用統計の結果で上昇した豪ドルは、先週の大きな上昇幅を維持しつつ、上昇基調は維持したまま欧州セッションに入りました。
格付け会社S&Pが豪国債の見通しを「ネガティブ」から「安定」に引き上げた為、豪10年債利回りは3か月半ぶり低水準まで低下しました。
本日に発表された中国5月の輸入と輸出が再び上昇したことから、世界経済への楽観的観測が上昇し、利回り低下による市場の下向き圧力を緩和させました。
NZドルと豪ドルは、対米ドルで若干の下落に留まりました。
一方のポンドは、本日には対米ドルで1.4125ドル付近まで下落しました。
インド型変異株によって、英国内の新規感染者数が再度増加傾向にあります。
これにより、6月21日に予定されている経済再開の次の段階実施が延期される可能性が浮上していることも、ポンドの上値を重くしているようです。
本日はユーロも下落基調となっています。木曜日のECB政策会合では、緊急買い入れの見直しについて協議される模様で、市場はECBのハト派的見解を懸念しているようです。
木曜日には、ECB政策会合に加えて、米5月消費者物価指数も発表されます。
前月の消費者物価指数は4.2%上昇しました。今月も予想を上回る上昇となった場合、6月14日から15日のFOMC政策会合を控えて、市場の懸念が強まるでしょう。
テーパリングへの根強い懸念で、株価は強弱混合の動き
消費者物価指数への懸念により、本日の株価は上値の重い展開となっているようです。
アジア株式市場は、強弱混合の動きとなりました。欧州株式市場も、下落基調となっています。
米主要株価先物指数も、下落して推移しています。先週金曜日の米株式市場は、ハイテク銘柄の値上がりにより、ナスダック指数が1.5%、S&P 500が0.9%上昇して引けました。
米雇用統計の結果は、労働市場が急速な回復は見られないものの、底堅い回復を示しています。
したがって、FRBがテーパリングに急ぐ必要性がないため、米経済にとって丁度良いシナリオとなります。
しかしながら、同時に、テーパリング協議開始の時期が近付きつつあることを市場は無視できないでしょう。
先行き不透明感が解消されるまで、株価の動きは安定しない可能性があります。先週末、イエレン米財務長官は、「金利上昇はFRBにとってプラス」になると述べました。
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